天照大神様の「神勅」を今に

「私が高天原で育てた神聖な稲穂を あなたに授けましょう」

 

天照大神様は、こう話され、日本の国を統治するために地上へ降りてゆく孫の神様に、稲穂を授けられたといいます。

 

このエピソードは、今から1300年前(養老4年・西暦720年)に成立した日本書紀(日本最初の公式の歴史書)に書かれているものです。

 

「斎庭稲穂(ゆにわのいなほ)の神勅」と言われ、皇祖・天照大神様の重要な御言葉(三大神勅の一つ)とされています。

この神勅は、日本の祭りや食文化と分かち難い稲作が神代から受け継がれてきたことを示していて、だからこそ、天皇陛下も稲作や大嘗祭を重んじていらっしゃるのです。

 

こうした中、十社大神では、イセヒカリという米を伊勢の神宮から分けていただき、十社大神の献穀田で栽培し、収穫、奉納する取り組みを続けています。

 

この取り組みを大事にする理由は、十社大神の歴史にあります。

 

十社大神の主祭神は、天照大神様。もとは、応永7年(西暦1400年)に、伊勢の神宮から分祀されたと伝わる伊勢領神明社の御祭神です。

 

以来、十社大神では、伊勢の神宮から遷宮御用材や御神宝を下げ渡していただき、神宮との結びつきを大切に神社運営を行ってきました。

 

イセヒカリは、コシヒカリが突然変異したもので、伊勢の神宮の神田で発見されました。

 

十社大神は、これを毎年わけていただき、献穀田に植えています。

 

毎年5月には田植え。

 

地元の子供たちが早乙女になり、昔ながらの手植えです。

この取り組みは、多くの方々のご協力で成り立っています。

 

育苗や圃場の整備、田植えや稲刈りの運営など、幅広い面で汗をかいてくださっている地元のファームの方々、そして、趣旨にご理解くださり、土地を貸してくださっている地権者の方の協力なしでは成しえません。

 

また、行事のたびに集まってくださる子供達や保護者の方、氏子さんや崇敬者の方々、気にかけてくださっている多くの方々のお力添えがあってこそ、毎年実施できているのです。

 

秋には、手刈りで収穫しています。

 

機械を使えば作業が早いのですが、手刈りを大事にしています。

 

収穫した稲穂は、伊勢の神宮に奉納しに行っているほか、十社大神の秋季例祭にも奉納しています。

収穫した稲穂のうち、稲わらは、その後、しめ縄づくりに活用しています。

 

実った米だけでなく、稲わらも、重要な役割を果たしているのです。

 

記紀の時代から伝わる天照大神様の重要な神勅。

日本書紀の成立1300年の節目を迎える今、あらためてその価値を再認識し、未来につなげたいと考えております。